自転車のボトムブラケット(BB)は、ペダルを漕ぐ力をスムーズにリアホイールへ伝達する重要な部品です。
特に、マウンテンバイク(MTB)やロードバイクでは、BBの性能が自転車の走行感に大きく影響します。
BBを交換する際には、正確な寸法測定と規格の理解が不可欠です。
本記事では、MTBとロードバイクのBBの交換方法、寸法の測り方、各種規格について詳しく解説します。
主なポイント
- ボトムブラケットは18種類あり、幅広いシェル幅に対応。
- シェル幅68mmと70mmの規格:日本はJIS/BSC、イタリアはITA。
- ShimanoはISO、JIS、BSC/BSAを使用し、国際的に採用されている。
- ボトムブラケットのタイプはねじ込み式(THREAD)と圧入式(PRESS)に分類。
- BB30、PF30など、さまざまな圧入式BBのバリエーションが存在。
- SRAM DUBは28.99mmのクランクシャフト太さを持ち、過去のシェル規格とも互換性あり。
- 異なるフレームとBBの適合性を確認することが重要。
ボトムブラケットとは?基本解説
ボトムブラケット(以下、BB)は自転車の核心に位置し、クランクシャフトを支えています。
さらに、ペダルの力を伝達し、自転車の性能と操作感に影響を与えます。
ボトムブラケットの役割
主な機能として、BBはペダルの力をリアホイールにスムーズに伝達します。
自転車の耐久性やペダリングの効率には、BBの種類と構造が重要です。
適切なBBを選ぶことで、ペダリング時の負担が減り、快適なサイクリングが可能になります。
ボトムブラケットの種類
ボトムブラケットには多くの種類があり、選択には十分な検討が不可欠です。
規格としては、「68mm」と「70mm」が主流で、各国で異なる規格が使われています。
規格には「ISO」「JIS」「BSC/BSA」といったものがあり、イタリアでは「70mm」規格が一般的です。
BBの種類は、大きく分けて2つあります:
- スレッドタイプ(ネジ式):シマノなどでよく使われる従来型のBBです。右側が逆ネジになっている構造となっています。
- プレスフィットタイプ:BB30やPF30などがこのタイプに属します。フレームに圧入すると異音が発生しやすいです。
BBにはさまざまな種類があり、各種類ごとにメーカー独自の技術が盛り込まれています。
規格によっては交換やメンテナンス時の互換性が限られるため、選択には注意が必要です。
例えば、ロードバイクにおいては68mm規格のBBが一般的です。
フレームの種類に関わらず広く使われています。適切な規格を選ぶことで、自転車のパフォーマンスを維持できます。
ボトムブラケットの規格と寸法
ボトムブラケットの構造や大きさは、自転車の性能向上に重要な役割を果たします。
多様な規格が存在し、それぞれ独自の特性を有しています。
この件について解説し、寸法を正確に測る方法も紹介します。
主要な規格の紹介
ボトムブラケットには数多くの規格があり、例えばBSA/BSC/JIS(BC1.37×24T)などが挙げられます。
それぞれが独特の利点を持ち、特定のタイプの自転車に適しています。
以下の表に主な規格を示し、それぞれの特徴を解説します。
規格 | シェル幅 | 特徴 |
---|---|---|
BSA/BSC/JIS (BC1.37×24T) | 68mm | ロードバイクやクロスバイクで広く採用されています。 |
イタリアン (M36×24T) | 70mm | 主にロードバイクに使用されます。 |
フレンチ (35mm×1mm) | 68mm | JISに似ていますが、あまり一般的ではありません。 |
BB86 (PF86) | 86.5mm | シマノによる圧入規格で広く使われています。 |
BB30 | 68mm | カンノンデールが始めた規格、内径はΦ42mm。 |
BB65 | 63.5mm | LOOKの独自規格、内径はΦ65mm。 |
OSBB | 61mm | スペシャライズドの特別規格、内径はΦ46mm。 |
寸法の測り方
ボトムブラケットの正確な寸法を測るには、正しい方法と道具を使うことが大切です。
最初に、ノギスを用いてBBシェルの内径とシェル幅を測定します。
これにより、最適な規格が特定されます。同時に、シェル内径とネジ式の仕様も調査しておく必要があります。
さらに、物理的な取り外しと調査を行うことで、フレームとBBの適合性を確かめ、とクランクをピタリと合わせることが可能となります。
様々なメーカーによって規格が異なるため、BBを一度取り外して確認することが推奨されます。
使用する工具の種類と準備
ボトムブラケット(BB)の交換には、非常に重要な工具が必要です。
BBの型式によって必要な工具が異なりますから、事前の情報収集が肝要です。
- BB専用レンチ:適切なサイズのBB専用レンチを選びます。回転力を最大限活用し、精密な作業を実現します。例えば、多くのショップで見つかるPF30や24mmのレンチです。
- 内ネジ用BBツール:スレッドタイプのBB(JISやITA規格)を取り扱うには内ネジ用のツールが必要です。工具のサイズや種類を事前に確認しましょう。
- 外ネジ用BBツール:プレスフィットBB(PF30など)に適したツールです。正しいサイズを選択し、効果的な作業を行います。
- 圧入器具:プレスフィットBBの圧入に使用する器具です。BBにフィットする適切な器具を選ぶことで正確に取り付けができます。
必要な工具は、一般のオンラインショップや専門店で手に入れることができます。
例えば、最新の技術を搭載したSRAM DUBは、ROAD AXSとFORCE AXSの2グレードがあります。
BB30システムに対応したSpecializedのロードバイクには、シマノ24mmクランクを取り付けるためのコンバージョンBBを用いる場合があります。
BBシェルが広いほど、ピストン運動やワットパワー伝達の効率が上がることが知られています。
過去にはSRAM GXP規格のように左右非対称なものも存在しました。
このように、多様なBBに対応するためには、適切な工具選びが肝心です。
工具選びの際に、BBの外径やフレームのBBシェルのサイズを測ることも大切です。
精密な測定器具を用意し、正確な情報を得ましょう。
ボトムブラケットの交換作業には、非常に慎重な準備が必要です。精緻な工具選びと事前の情報収集は、長期にわたる性能維持に繋がります。
MTBとロードバイクのボトムブラケットの選び方
自転車の性能や快適さに影響を与えるボトムブラケットの選び方を知ることは大切です。
適切なボトムブラケットを見つけるには、マウンテンバイクやロードバイクなど自転車の種類や乗り方を考慮する必要があります。
主要メーカーは様々な規格とサイズのボトムブラケットを提供しています。
例えば、シマノは多種多様なボトムブラケットを取り揃えています。
MTB用ボトムブラケットの特性
マウンテンバイク (MTB) は主にオフロードで使用され、それに耐えられるボトムブラケットが必要となります。
ISO、JIS、BSC、BSAなどいくつかの規格が使用されており、ネジ型やプレスフィット型が一般的です。
マウンテンバイクの主流はシェル幅68mmです。
シマノのHollowtech IIやOctalinkを例にとれば、これらが採用されています。
規格 | 主なメーカー | 特性 |
---|---|---|
ISO / JIS / BSC / BSA | シマノ, スギノ, タンゲ | シェル幅68mm、ネジタイプと圧入タイプ |
BB30 | キャノンデール | シェル内径Φ42mm、幅68mm |
PF30 | SPECIALIZED | シェル内径Φ46mm、幅61mm |
ロードバイク用ボトムブラケットの特性
ロードバイクでは、軽さと堅牢さが重要視されます。
主な規格としてISO、JIS、BSA、ITAが挙げられ、シェル幅は70mmが一般的です。
シマノのデュラエースDi2やアルテグラDi2に似たRED AXS、FORCE AXSが好評です。
規格 | 主なメーカー | 特性 |
---|---|---|
ISO / JIS / BSA | シマノ, カンパニョーロ | シェル幅68mmまたは70mm、ネジタイプ |
BB30A | キャノンデール | シェル幅68→73mm、改良版BB30 |
BB86 | シマノ | シェル内径Φ41mm、幅86.5mm |
マウンテンバイクでのボトムブラケット交換も、同様に正確な規格を選び寸法を測らなければなりません。
ロードバイクとの違いを把握し、最適なボトムブラケットを見つけることがライドの安全性と快適さに繋がります。
フレームとボトムブラケットの適合確認方法
自転車のフレームに合わせるためには、まずbbシェル幅を測定することが不可欠です。
ロードバイクやシティバイク、そしてリジッドマウンテンバイク向けのボトムブラケット(BB)は典型的に68mmです。
その一方、リアサスペンションマウンテンバイク用のそれは73mm、ダウンヒルマウンテンバイク専用のものは83mmと広がりがあります。また、時折100mmのものも見られます。
BB30などの規格は、軸の大きさに合わせてシェル幅を調整します。
この規格はキャノンデールが約数十年前に導入・普及させました。
軸径が30mmあるため、フレームの内径も広くなります。
したがって、シェル幅と軸の大きさを正確に合わせることが肝要です。
主要なBB規格とそれに対応するシェル幅を以下に示します:
BB規格 | シェル幅(mm) | 軸長(mm) |
---|---|---|
ISO | 68 | 47.5/50 |
JIS | 68 | 螺旋長68-73 |
BSA | 68/73 | 47.5/50 |
ITA | 70 | 軸長70 |
クランクとBBの適合も、自転車のフレーム選びに不可欠な要素です。
シマノのBBはクランクにピッタリ合うよう調整されており、これにより剛性を高め、容易に取り付けできます。
メーカーごとの規格を正確に理解し、適合を確認することが大切です。
特に通常利用される左右ワンの設計は留意しておくべきです。
クランクとボトムブラケットの互換性
サイクルのパフォーマンスを高めるためには、クランクとボトムブラケットの互換性が必要です。
それぞれのメーカーによる規格適合を確認することが、スムーズな動作を望む際の重要な手がかりです。
主要メーカーのクランク規格
多くのメーカーが存在し、例えば、シマノやFSA、そしてカンパニョーロなどが該当します。
一例を挙げると、シマノのOctalinkは8スプライン仕様であり、FSAのISISは10スプラインを採用しています。
尚、SRAMのDUB仕様はシャフトが28.99mmで、RED AXSやFORCE AXSラインとのみ互換性があります。
互換性チェックの方法
互換性を確認する際には、最初にクランクのシャフト径とBBシェルの規格を照らし合わせるのが一番です。
もしシャフト径が24mmであり、BB内径も24mmだとすれば、問題なく適合します。
もし適合しない場合は、異なる径を合わせる為にコンバージョンBBやアダプターを使用する必要が出てきます。
例えば、BB30の場合は内径が30mmあり、それに対応したクランクが必要です。
また、ボトムブラケットのサイズと規格も見落とせません。
例えば、18種類のBBサイズが存在し、各サイズには異なるシェル幅があります。
SM-BB9000は外径が最も小さく、適切なツールの使用が要求されます。
同様に、SM-BBR60も小さい外径を持っています。
最適な選択肢を見極めるために、互換性確認の際は下記の点をチェックしておくと良いでしょう:
- クランクのシャフト径とBBシェルの内径が一致しているか
- 使用するクランクとボトムブラケットの規格が適合しているか
- 必要に応じてアダプターやコンバージョンBBを活用する
このステップにより、クランクとBBの適合を確実にすることが可能です。
そして、最高のサイクル経験を提供できます。
mtb ボトムブラケット 交換 寸法 測り方
MTBボトムブラケットを取り付ける際、正確な測定と準備が重要です。
交換のためには、手順と寸法測定に注意が必要です。
これにより、自転車のメンテナンスを効果的に行うことができます。
交換の準備と手順
交換作業では、BB専用のレンチや圧入器具などの適切な工具が必要です。
交換の前に、既存のボトムブラケットの規格や新BBの適合性を確かめます。
古いBBを外し、新しいものを取り付ける作業に進みます。
寸法の正確な測定手順
ボトムブラケットの寸法を正確に測ることは、成功への鍵となります。
寸法測定は以下の手順に従って行います:
- ノギスでフレームのBBシェル幅を測定します。68mmまたは70mmのシェル幅が一般的ですが、他のサイズもあります。
- 現在のボトムブラケットのシャフト径を確認します。例えば、シマノのオクタリンクは24mm、BB30は30mmです。
- 新しいBBの適合を確認するために、ボトムブラケットのシェル内部径を計測します。
これらの手順に従うことで、正確な寸法測定が可能です。
自転車メンテナンスにおいて、フレームやクランクの規格にも留意が必要です。
異なる規格の部品を使用する際は、コンバージョンBBやアダプターを利用して互換性を確保しましょう。
ボトムブラケットの取り付け方
自転車を修理する際、ボトムブラケットの取り付けは重要です。
このプロセスには、スレッドタイプとプレスフィットタイプの2つがあります。両者について詳しく説明します。
スレッドタイプの取り付け方
まず、スレッドタイプのボトムブラケットを取り付ける前に、BBシェルを清掃しましょう。
そして、ネジ山にグリースを塗ります。
その後、右側からBBをねじ込んでください。
使用する工具やトルクは、シェル幅や軸の種類によって異なります。
メーカーによる互換性も念頭に置いておくべきでしょう。
プレスフィットタイプの取り付け方
プレスフィットタイプのボトムブラケットを取り付ける場合は、まずフレーム内部を綺麗にします。
圧入器具を使い、BBを均等に押し込むように圧入します。
専用の工具が必要な規格もあるため、事前に準備を怠らないでください。
異音や隙間がないかチェックすることも大切です。
自転車の修理には、取り付け作業に注意が必要です。
適切な工具と技術を使って作業を進めることで、自転車の性能を最適化できます。
交換時のよくあるトラブルの解決方法
自転車のボトムブラケットを交換する際には、幾つかの課題が生じる場合があります。
このセクションでは、これらの一般的なトラブルに対する解決策を詳しくご紹介いたします。
まず、ねじ山の損傷は大きな障害となります。
ねじ山がすり減ったり壊れた場合は、専用のタップとダイスを用いて修復することができます。
潤滑剤を使うことでねじ山の損傷を予防し、摩擦を少なくすることが重要です。
次に、圧入失敗もよくあるトラブルです。十分な力で圧入されないと、ボトムブラケットが適切に固定されません。
これを防ぐためには、Parktool CLG-2 チェーンラインゲージなどの道具を使い、正しい位置に取り付け、適切な力で確実に圧入しましょう。
以下の表は主要メーカーのスプロケット全幅を示したものです。
これを基に、リアスプロケットのチェーンラインを計算する際の指針として活用できます。
メーカー | カセットスプロケット 全幅 (10 speed) |
---|---|
Campagnolo® | 38.8mm |
Shimano® | 37.2mm |
SRAM® | 37.6mm |
自転車のトラブルを予防するには、交換前に精密な測定が不可欠です。
クランクセットやフロントディレーラーの正しいチェーンラインは概ね47.5mmであるため、この数値に調整してください。
最後に、重要なのはトラブル解消時には専門家に相談することです。
交換には高度な技術や道具が必要ですから、プロのアドバイスを仰ぐことが賢明です。
メンテナンスと長寿命化のためのポイント
自転車のボトムブラケットがパフォーマンスを発揮し続け、長期間使用するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
清掃や潤滑を正しく実施することで、パーツの寿命を延ばせます。
さらに、交換が必要なタイミングを見極める技術も同様に重要です。
定期的な清掃と潤滑
ボトムブラケットを中心に定期的な清掃と潤滑を行うことは不可欠です。
例えば、ボトムブラケット周辺についた汚れや錆を除去し、適切な潤滑剤を使用することで、部品の摩耗を軽減し、パフォーマンスを維持できます。
泥や水の影響を受けやすい環境で使用する場合は、特にこの作業を欠かさないようにしてください。
交換タイミングの見極め
自転車の利用状況や走行環境によって、ボトムブラケットの交換頻度は異なります。
異音や動作の遅れなどをチェックし、問題があった場合には早急に交換することが重要です。
たとえば、異常な音を耳にしたら、ボトムブラケットの劣化を警戒すべきかもしれません。
迅速な措置で他のパーツに悪影響を及ぼすことを最小限に抑えつつ、寿命を延ばすことができます。
作業 | 頻度 |
---|---|
清掃 | 毎月 |
潤滑 | 3ヶ月ごと |
交換タイミングチェック | 6ヶ月ごと |
これらのメンテナンス技術を定期的に適用することで、自転車 パーツの性能を最適化し、寿命を伸ばすことが可能となります。
プロに依頼する場合のポイント
ボトムブラケットの交換は技術が必要な作業です。
作業には正確な工具が不可欠であり、寸法の測定も重要です。
BBの設置に際しては、細心の注意が求められます。
自転車修理の経験が浅い方や、確実な作業を望む方は、専門家に依頼するとよいでしょう。
プロにお願いする際のポイントについて説明します。
- 信頼できる 専門のバイシクルショップを見つけることが最優先です。
- ショップの実績や評判をリサーチし、質の高いメンテナンスを受けられる場所を選びましょう
- 自転車のタイプやBBの規格、サイズなど、重要な情報は事前に提供しておきましょう。この情報共有は、作業を円滑に進めるのに役立ちます。
- 作業時間、料金、保証についても念入りに調べましょう。予定の大会やイベントが近づいている場合、時宜に合わせた対応が必要です。
プロに依頼するメリットは、ボトムブラケット交換などのメンテナンスだけでなく、自身が気づかなかった箇所の点検もしてもらえることです。
こうしたサービスを受けることで、自転車全体の性能が向上し、トラブルの回避にもつながります。
定期的な専門家によるチェックは、自転車の長寿命と快適な利用につながります。
まとめ
ボトムブラケットの交換は、自転車のメンテナンスにおいて非常に重要です。
正確な寸法測定と適切な工具の使用により、自転車の性能を最適化し、快適なライドを実現できます。
MTBとロードバイクでは使用されるBBの規格や寸法が異なるため、それぞれに合ったBBを選ぶことが大切です。
また、交換作業が難しい場合は、プロのバイシクルショップに依頼することも一つの方法です。
定期的なメンテナンスと適切なBBの選択により、自転車の性能を長期間維持し、安全で快適なサイクリングを楽しみましょう。